Lumenにおけるメッシュ分割の重要性(壁が暗くなる問題)
壁や天井、床などのメッシュが一体化(Combined)されていると、Lumen環境下で部屋が不自然に暗くなる現象が発生します。 このページでは、その技術的な原因と、正しいアセット制作のアプローチについて解説します。
現象の比較
以下は、同じ部屋の形状・同じライティング設定で、メッシュの構成のみを変更した比較です。
❌ NG: メッシュが一体化している場合
壁・天井・床が1つの巨大なメッシュとして結合されている状態です。 照明を配置しても部屋全体が暗く沈んでしまい、光が正しく回っていません。

全ての壁が1つのアクターになっている

光が回らず、非常に暗い
✅ OK: メッシュが分割されている場合
壁・天井・床を、面ごとあるいは部屋ごとに別のメッシュとして分割(Detach)した状態です。 設定はデフォルトの「Surface Cache」のままですが、自然な明るさが表現されています。

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ポイント
メッシュを適切に分割すれば、高負荷な「Hit Lighting」モードを使わなくても、デフォルトの「Surface Cache」モードで十分に高品質なライティングが得られます。
技術的な原因解説
なぜメッシュをつなげると暗くなるのでしょうか? 主に2つの技術的な要因があります。
1. Mesh Distance Field (MDF) の解像度不足
Lumenは光の遮蔽(オクルージョン)を計算するために、モデルの形状を「距離フィールド(3Dボリュームテクスチャ)」という簡易データに変換して扱います。
- 仕組み: メッシュ1つ(1アクター)につき、1つの距離フィールドテクスチャが割り当てられます。
- 問題: 距離フィールドの解像度には上限があります(デフォルトでは最大でも128x128x128ボクセル程度)。
- 結果:
- 巨大な一体化メッシュの場合: 家全体を限られた解像度に押し込むことになるため、「壁の厚み」が1ピクセル(ボクセル)未満として扱われてしまいます。結果、壁が「スカスカ」の状態として認識され、光漏れ(Light Leaking)や遮蔽不足が発生します。
2. Lumen Surface Cache(ルーメンカード)の密度不足
Lumenは表面のライティング計算を高速化するために、メッシュの表面に「Lumenカード」と呼ばれる簡易的な板を貼り付けて、その上の光を計算(キャッシュ)しています。
- 仕組み: メッシュごとにSurface Cacheが生成されます。
- 問題: 複雑で巨大な形状(家全体が結合されたもの)に対しては、自動生成されるカードの貼り付けがうまくいかず、カバレッジ(被覆率)が低下します。
- 結果: 壁の表面で光が正しくバウンス(反射)せず、本来部屋の中に入るはずの間接照明(Global Illumination)が計算されないため、部屋全体が暗く沈んでしまいます。
推奨される対策
アセット制作時は、壁・床・天井を適切な単位で分割(Detach)してください。
- 推奨単位: 部屋ごとの壁、あるいは壁面ごとの分割。
- メリット: 各パーツに十分な解像度のDistance FieldとSurface Cacheが割り当てられ、Lumenが正確に機能します。
意図的に結合する必要がある場合(ドローコール削減など)でも、Lumenを使用する建築ビジュアライゼーションにおいては、ライティング品質を優先して分割する方が良い結果が得られます。