レンダリング時にオブジェクトの形状が崩れる・歪む(Naniteフォールバック)
パストレーシング(Path Tracing)によるレンダリングを行った際、特定の家具やオブジェクトの形状が崩れたり、カクカクしたり、三角形のように尖って表示される問題について解説します。
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現象のキーワード
ユーザーは以下のような表現でこの問題を報告する可能性があります:
- 「レンダリング画像の形がおかしい」
- 「オブジェクトがカクカクしている・ローポリに見える」
- 「三角形に尖っている・歪んでいる」
- 「プレビュー(ビューポート)では綺麗なのに、書き出すと汚い」
- 「メッシュが崩壊している」
- 「照明や棚の形が変形している」
現象
エディタ上のビューポートやリアルタイムプレビューでは正常に表示されているオブジェクトが、高画質レンダリング(パストレーシング) を実行した結果の画像でのみ、形状が崩れて表示されます。
赤い矢印で示された箇所:照明器具や棚の形状が粗く崩れている
典型的な症状:
- 滑らかな曲面が、粗い三角形(ポリゴン)の集合体に見える
- オブジェクトの一部が鋭利に尖って飛び出している
- 本来の形状とは異なる、簡易的な形状に置き換わっているように見える
原因:Naniteフォールバックメッシュ
この問題の主な原因は、Unreal Engine 5のNanite(ナナイト) 機能における「フォールバックメッシュ(Fallback Mesh)」の設定です。
- Naniteの仕組み: Naniteは、カメラの距離に応じてメッシュの詳細度を自動調整しますが、パストレーシング(レイトレーシング)計算時には、完全なNaniteメッシュではなく、計算コストを抑えるための「フォールバックメッシュ(プロキシメッシュ)」が参照されることがあります。
- 設定不足: このフォールバックメッシュの解像度(ポリゴン数)が低く設定されていると、レンダリング時にその粗い形状がそのまま描画されてしまいます。
解決策
この問題は、データ作成者(3Dモデラー・エンジニア)による修正が必要です。ユーザー側で対処することはできませんが、問題の切り分けとして以下の情報を収集してください。
ユーザーへのヒアリング項目
- 問題が発生しているのは「パストレーシング(高画質)」モードですか?
- リアルタイムプレビュー(Lumen)では正常に見えますか?
- 特定のアイテムでのみ発生しますか?(アイテム名を特定)
開発・制作チーム向け修正手順
問題が発生しているスタティックメッシュ(Static Mesh)の設定を以下のいずれかの方法で修正します。
方法A:フォールバックの精度を上げる(推奨)
Naniteを有効にしたまま、パストレーシング用のメッシュ精度を向上させます。
- 当該スタティックメッシュエディタを開く
- Nanite Settings パネルを探す
Fallback Triangle Percent(フォールバック三角形の割合)の値を 100% (またはそれに近い高い値)に設定するApply Changesをクリックしてメッシュを再ビルドする
方法B:Naniteを無効にする
形状が単純なオブジェクトや、どうしても修正できない場合はNaniteをオフにします。
- 当該スタティックメッシュエディタを開く
- Nanite Settings で
Enable Nanite Supportのチェックを外す Apply Changesをクリックする