インテリア・夜景シーンのレンダリング (Interior & Night Scenes)
インテリアシーン、特に夜のシーンは、外観(エクステリア・昼)とは全く別の戦いになります。 このページでは、「砂嵐のようなノイズ」を消すための、インテリア専用の3つの戦略を解説します。
4K / 4096 Samples / Denoiser ON の実例
前提知識
このページは、レンダリング設定の極意 の基本レシピを理解している方向けの応用編です。 まだ基本を試していない方は、先にそちらをお読みください。
なぜインテリアシーンは難しいのか?
外観(昼)と内観(夜)では、光の計算の複雑さが桁違いです。
外観(昼)の場合
- 光源: 太陽という超巨大で強力な光源
- 光の経路: 直接カメラに届く
- 計算: シンプルで、ノイズが出にくい
内観(夜)の場合
- 光源: 小さなライト(Point Light, Spot Light)
- 光の経路: 壁や床に何度も反射(バウンス)してカメラに届く
- 計算: 複雑で、ノイズが非常に出やすい
結論
外観と同じ設定でインテリアをレンダリングすると、「砂嵐のようなノイズ」が残ります。 インテリアには、インテリア専用の戦略が必要です。
戦略1:デノイザーON(推奨・バランス型)
外観では「質感を出すためにデノイザーOFF」をお勧めしましたが、光の足りない暗いインテリアシーンでデノイザーOFFを貫くのは、計算時間がかかりすぎて現実的ではありません。
インテリアに限っては、**「デノイザーをON」**に戻すのが賢い選択です。
推奨設定レシピ(コピペ可能)
✓ Rendering Mode: Pathtracer
✓ Resolution: 3840x2160 (4K)
✓ Use Denoiser: ON ← インテリアはこれでOK!
✓ Spatial Samples: 64
✓ Temporal Samples: 32 (合計 2048サンプル)
✓ Upscaler Algorithm: Noneポイント
- Denoiser ON で砂嵐を消す
- ただし、サンプル数は高いまま維持(2048)
- これで「綺麗な情報をデノイザーに渡す」ことで、塗り絵っぽくなるのを防ぐ
推奨度:★★★★★
まずはこの設定から試してください。RTX 3060(VRAM 8GB)クラスでも、10〜20分程度で美しい画像が完成します。
戦略2:サンプル数倍増(極上品質・筋肉解決)
もし「どうしてもデノイザーを使わず、あのリッチな質感を維持したい」という場合は、外観の時よりもさらにサンプル数を上げる必要があります。
理由
光が届きにくい場所(暗部)のノイズを消すには、外観の数倍の計算が必要です。
推奨設定レシピ(上級者向け)
✓ Rendering Mode: Pathtracer
✓ Resolution: 3840x2160 (4K)
✓ Use Denoiser: OFF ← 質感を完全に保つ
✓ Spatial Samples: 64 (または 128)
✓ Temporal Samples: 64 (合計 4096サンプル)
✓ Upscaler Algorithm: Noneさらに上を目指す場合:
Spatial: 128
Temporal: 64
合計: 8192 サンプルレンダリング時間の目安
| PC | VRAM | 4096 Samples | 8192 Samples |
|---|---|---|---|
| RTX 3060 | 8GB | 30〜60分 | 60〜120分 |
| RTX 4070 | 12GB | 20〜40分 | 40〜80分 |
| RTX 5070 | 12GB | 15〜30分 | 30〜60分 |
注意
これはプロの最終出力用です。時間はかかりますが、これが物理的にノイズを消す唯一の方法です。 「戦略1」で満足できない場合のみ、試してください。
戦略3:ライト設定の最適化
CG初心者が陥りがちなのが、**「ライトの数値(Intensity)が低すぎて、カメラのISO感度だけで無理やり明るく見せている」**ケースです。 これだとノイズが大量に出ます。
チェック項目
-
Unreal Engineのライト設定を確認してください
- Point Light や Spot Light の Intensity が低い値(例: 5, 10)になっていませんか?
-
カメラの露出設定を確認してください
Exposure Compensationが非常に高い値(例: +3, +5)になっていませんか?- 👉 参考: カメラ設定
正しいバランス
| 悪い例(ノイズ多) | 良い例(ノイズ少) |
|---|---|
| ライト Intensity: 5 Exposure Compensation: +5 | ライト Intensity: 50 Exposure Compensation: 0 |
プロの鉄則
「ライトの方を強くして、露出を下げる」バランスに調整してください。 光のエネルギーが強い方が、計算時のノイズは減ります。
具体的な調整手順
- ライトを選択し、
Intensityを 10倍〜50倍 に上げる - カメラ設定で
Exposure Compensationを 0 に戻す - 明るすぎる場合は、ライトの数値を少し下げる(露出ではなく)
どの戦略から試すべきか?(フローチャート)
Step 1: まず戦略1を試す
Denoiser ON / Samples 2048
↓
レンダリング(10〜20分)
↓
結果を確認Step 2: 結果の評価
| 評価 | 次のアクション |
|---|---|
| ◎ 満足! | 完了!この設定で本番へ。 |
| ○ ノイズは消えたが、質感が少し物足りない | → 戦略2(Samples 4096)を試す |
| △ まだノイズが残る | → 戦略3(ライト最適化)を確認 |
| × 全体的に暗い / ノイズ多い | → 戦略3(ライト最適化)を最優先 |
結論:今すぐやるべき設定
まずは**「戦略1(バランス型)」**で試してみてください。これで十分に綺麗になるはずです。
✓ Use Denoiser: ON (インテリアはこれでOK!)
✓ Spatial Samples: 64
✓ Temporal Samples: 32 (合計 2048サンプル)
✓ Resolution: 3840x2160 (4K)これで一度レンダリングしてみてください。砂嵐が消え、かつサンプル数が高いので質感もそこそこ残るはずです。
成功のポイント
- 外観(昼): Denoiser OFF / Samples 2048
- 内観(夜): Denoiser ON / Samples 2048 ← これが正解!
シーンに合わせて、デノイザーの使い分けをマスターしましょう。
よくある質問
Q. 外観でもデノイザーONにしてはダメですか?
A. ダメではありませんが、外観(昼)は光が強いので、Denoiser OFF でも比較的短時間でノイズが消えます。 質感を最大限活かすなら、外観は OFF をお勧めします。
Q. Samples 2048でもノイズが残る場合は?
A. 以下を確認してください:
- ライトの Intensity が低すぎないか(戦略3)
- ガラスや鏡が多すぎないか(反射が多いとノイズが出やすい)
- 部屋が異常に広くないか(光が届きにくい)
それでも残る場合は、Samples を 4096 に上げてください。
Q. レンダリングが途中で止まる / クラッシュする
A. Spatial Samples が高すぎる可能性があります。
- Spatial を 32 に下げる
- Temporal を 64 に上げる(Total は同じ)
- 詳しくは → Samples設定の深掘り
関連ページ
- 基本レシピ: レンダリング設定の極意
- 上級者向け: Samples設定の深掘り (Advanced)
- カメラ設定: カメラ設定 (Exposure/Focus)
- クラッシュ対策: 動作が重い・クラッシュする